簡単で効果的な見積もり法

概要

見積もりの極意……それはです。こんなことを言うと怒られてしまうかもしれませんが、勘を侮ってはいけません。「長年の経験と勘」という言葉のつながりにも表れるように、「勘」というのは人間にとって重要なものです。

この記事では、この「勘」を徹底的に活用した見積もりの方法を紹介します。非常に簡単な見積もり方法ですが、見積もり結果は驚くほど正確になります。是非、だまされたと思って一度試してみてください。

準備するもの

開発者 2 人 (3 人か 4 人を推奨)

中級以上の実力を持った人を少なくとも 1 人以上加えてください。経験が非常に重要です。

方法

まずは、以下の条件で各開発者にタスクを見積もってもらいます。初回の見積もりは、 3 分 (長くても 10 分程度) という短い時間で出します。この見積もり作業は繰り返して何度も行いますので、深く考えずに「えいやっ!」と度胸で見積もり値を出してください。

  • 1 日 8 時間労働
  • 平均的な割り込み (ミーティングやメールなど) を考慮
  • 単位は人日など荒くて良い (タスクの粒度によっては週日や月日でも可)

見積もりがでたら、参加メンバで見積もりに至った根拠を簡単に話し合います。このとき、自分の見積もりに固執するのは NG です。自分よりも他人の見積もり結果を尊重しましょう。話し合うポイントは以下です。時間は、全員が発言して 10 分以内がいいと思います。後から繰り返し行うため、長くても 15 分以内がいいでしょう。

  • 実装上気になるポイントやリスクなどを重点的に話し合う
  • (自分の見積もりが人よりも多ければ、) 難しいと思った理由を説明
  • (自分の見積もりが人よりも少なければ、) 簡単だと思った理由を説明

この方法の基本は以上で終わりです。以下に手順をまとめます。見積もり精度が良くなったと感じるまで、以下の手順を繰り返し行います。通常は、各開発者の見積もりが 4 回前後で収束すると思います。

  1. 開発者が各々に見積もりを出す
  2. 見積もりに至った経緯を、それぞれの開発者が話す
  3. その他、業務上・技術上のポイントやリスクなどを話し合う
  4. 以上を見積もりが収束するまで繰り返す

終わりに

この記事では、簡単で効果的に見積もる方法を紹介しました。この方法で見積もった結果は、単なる勘だけの値ではなく、複数人の見積もりを繰り返すことで精度が上がるという特徴があります。

ソフトウェア開発で見積もりは大切です。開発内容の詳細が決まっていない場合、正確な見積もりを算出することは困難ですが、この方法で見積もった結果は (意外に思われるかもしれませんが) いい具合の値になります。もちろん、詳細な設計まで完成している場合は、非常に正確な値を出してくれるので、簡単で使いやすい見積もり方法だと思います。

なお、似たような方法に KKD 法というのがあります。 KKD は、経験 (Keiken; K)、勘 (Kan; K)、度胸 (Dokyou; D) を使った見積もり方法の略称です。今回紹介した方法では、「複数人で見積もる」ことと「繰り返す」ことによって KKD 法のデメリットをなくし、よりよい見積もりを得られるように工夫しています。